泣きたい

最近、やたらと眠くて、思うように漫画が進まない。
ときどき、どうしてこんなにしんどい思いをしてまで、漫画を描くのだろうかと思ってしまう。


なんで自分が漫画を描きたいと思うのだろうか。
何を描きたいと思うのだろうか。


改めて自問してみると、その答えが出てこない


ちょっと視点を変えてみよう。


僕が読みたいと思う作品はなんだろうか?


今までたくさんの本を読んできた。
笑える話、心が温まる話、不愉快になる話。いろいろあった。
ただ、思い出してみても、本を読んで泣いたという経験がない!!


別に泣くことが恥ずかしいとも思わない。「涙活」なんていうのもあるし。

感動的な話を読んで、思い切り泣いてみたいと思って、評判の感動的な話を読んでみたこともあるが、全く泣けなかった。逆にわざとらしくて冷めた気持ちになってしまうこともある。


別に感情がないというわけではないはずだ。
面白い話だったら素直に声に出して笑うし、
不愉快な話に出会ってしまったらイライラしながら読み進めるし。
心が温まる話だったら、自分も「こうでありたい」と優しい気持ちになれる。


それなのに、泣くという経験がない。
動物モノで泣けるという人がいるが、僕には泣けない。


喜怒哀楽の「哀」が抜け落ちているのだろうか。でも「哀しい」という感情とは違う。
嬉しくて涙することもあるだろう。哀しくて泣く、嬉しくて泣く。とかそういうことじゃない。
言葉にできないのがもどかしい。


こうして文章を書きながら思った。
泣いてみたい!!
心を揺さぶられて、思いっきり泣いてみたい。


笑える作品や心が温まる作品はたくさん出会ってきたし、自分が描くよりもずっと素晴らしい作品がたくさんあった。
でも、泣ける作品には出会えなかった。だから、自分の手で泣ける作品を作り出してみたい


今まで、自分が何を描きたいのか分からなくて悩んでもいたが、
こうしてブログで自分を客観的に見て、文章にしてみたら不思議なほどに答えが見えてくる。
自分が何を描きたいのか、わずかながらに見えてきたように思う。
文章の力ってすごいな!!


でも、どんな作品を読んでも、描いても泣けなかった自分。
こんな自分が泣ける作品を描くというのはかなりハードルが高い。


僕はどんなストーリーで泣けるのだろうか?
また新しい疑問が出てきてしまった。
漫画を描き続けながら探し出していくしかないのだろうか。
それとも、日々思ったことを文章にしていくことで、なにかを見つけられるのだろうか。

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不器用だから

くどいようだが、僕は手先が不器用である。


料理するにしても包丁の扱いが下手なので、食材を切るのに時間がかかるし、千切りとかも太くなる。リンゴとかも包丁で皮を剥くことができない。


洗濯もきれいに干すことができない。僕が干すとしわくちゃになるから「洗濯はやらなくていい!!」としょうちゃんに言われてしまう。


漫画を描くにしても、思い切り不器用さを発揮してしまう。まっすぐに線を引きたいのに、必ず歪んでしまう。


じゃあ線をキレイに描けるように練習すればいい


そりゃそうだ。そんなこと言われなくても百も承知している。でも、どんなに練習しても不器用を直すことはできない。


僕は聴覚に障害がある。生まれつきのもので、永久的に聴力を得ることはできない。
「聞こえるようになれ」と言われても、どうしようもない!!


だけど、手話や筆談など、工夫次第で他人と会話することができる。
できないことはできないにしても、それをカバーしていくことはできる。


僕が漫画の画材にシャープペンシルを選んだのもそれが理由だ。
つけペンやマーカーの線はシャープなので、線の歪みがはっきりと出てしまう。
けれど、シャープペンシルの、柔らかくてざらついた線は、線の歪みをカバーしてくれる(気がする)。


それ以来、シャープペンシル一本で絵を描き続けてきた。
今となっては「線の歪みもあきらっちの個性」として確立しつつある(気がする)。


自分が不器用でなければ、シャープペンシルで絵を描くこともなくて、独特の画風が生まれることもなかっただろう。
そういう意味では不器用で良かったのかもしれない。

 

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ネーミングセンス

漫画を描くのが好きなだけあって、
キャラクターを考えるのも大好き!!


性格や外見。自分が魅力的に思う人間を想像して、
あれこれ動かせるのが漫画の醍醐味だろう。


僕がキャラクターを作るときは、あまり細かいことは決めない。
ざっくりとした設定を決めたら、物語を進めてしまう。
人間は複雑なんだし、その時々で考えることは変わる。
物語を進めながら、そのキャラの人間性を固めていけばいい。


あまりキャラに設定を持たせないことで
「あれをやらせよう」「これをやらせてみよう」と自由な発想が生まれてくる。
もちろん多重人格者にさせないために、必要最低限の設定と
「これだけは譲れない」という動機付けは必要ではある。


でも、僕がキャラクターを作る上で一番悩むのが、キャラの「名前」だ!!
いつも、キャラの基本設定は作れても、最後に名づけで悩むのだ。
キャラクターに名前を付けることで、命が宿るような気がするから、
そのキャラにピッタリの名前をつけたいと思うのだ。
そのピッタリの名前がなかなか思いつかなくて、いつも何時間も考えてしまう。
僕はネーミングセンスは皆無だ。すらすら名づけできる人はすごいと思う!!


僕が名づけをするときは、そのキャラクターの特徴をとらえた名前を付けることが多い。すごく安直にネーミングすることもあれば(元気なキャラだから、名前は「元気」とか)かなりひねることもある。


pixivで企画をしている【ゆるほの街】のキャラクターを例にとる。



とにかくおしゃべり好き。仕事中でも、ついつい話し込んでしまって、仕事が遅れることもしょっちゅう。
口を開けばマシンガンのように話が止まらないのに、エロネタを吹っ掛けたら照れて黙ってしまう。


そんなキャラを作ってみた。さて、どんな名前を付けようか。
う~ん。マシンガンのようにしゃべるキャラか・・・。マシンガン・・・ましん・・・。
漢字に置き換えてみようか。いろいろ漢字を変換してみる。
満・伸・岸(ま・しん・がん)。あっ!!これを逆に読んだら人名になるじゃん!!
読み方も変えて
岸 伸満(きし のぶみつ)
うん!!良い名前だ。これで決定だ!!



パン屋でアルバイトをする高校2年生。パンは大好きだけど、食事はごはん党。
美術部に所属しているけど、画才は全くない!!


そんなキャラを作ってみた。さて、どんな名前を付けようか。
う~ん。いろいろ特徴はあるから、どこかに焦点を当てなければ。
このキャラが一番特徴的なのは、パン屋でアルバイトしているところかな。

パンか・・・。パンの原材料って何だっけ?
小麦粉に卵にバターに牛乳、あとドライイーストだっけ?(うろ覚え)
・・・ん?ドライイースト?これ人名に変換できそうだな。

ドライ=乾燥・・・乾って人名で「いぬい」って読むよな。
イースト=スペルは違うけど「東」とも訳せる。東は「あずま」とも読むな。
「いぬい あずま」。うん!!語感も悪くない。人名っぽい感じに変換してみよう。
いぬいは「乾」で良いとして、「あずま」は他に変換しよう。
「あずま」と入力して変換キーを押したら「梓馬」が出てきた。いいじゃんこれ!!
というわけで
乾 梓馬(いぬい あずま)
というキャラクターが生まれた。


文章で書くと、あっさり決まっているように見えるが、これでも何日もかかったのだ!!
キャラクターの名づけは本当に悩ましい。
だけど、苦労して名付けただけに、キャラクターへの愛着は大きいものだ。

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相棒その⑤(ラスト)

僕が相棒にしている作画道具の紹介も、これが最後だ。


漫画の技法書を読むと、オーソドックスな画法は、
鉛筆やシャープペンシルで薄く下書きをして、つけペンなどでペン入れをして、
最後に消しゴムをかけるそうだ。


僕は画力が無いので、下書きをするにも、何度も消しては描き直して、
ようやく下手なりに納得のいく下書きができる頃には、紙がボロボロになっている。
しかも、シャープペンシルでペン入れをするので、消しゴムをかけることができない。


そのため、ライトテーブルがマストアイテムだ!!
下書きをした用紙に、清書用紙を重ねて、光で透かせてなぞっていくのだ。


僕が使っている原稿用紙は、無印良品の4コマメモだ。
1コマ枠の大きさは57mm×38mmなので、でかいライトテーブルは不要だ。
大は小を兼ねるというが、でかすぎるのも邪魔苦しい。
とにかく小型のライトテーブルが欲しい。


大型のライトテーブルはたくさんあるが、小型のライトテーブルは無い。
そりゃそうだ。プロ漫画家やデザイナーなどは大きい紙に描くだろうから、
大型ライトテーブルのほうが需要が高い。


ライトテーブルはプロ御用達ともなると2~3万円クラスになる。
こんな高いものを買っても僕には分不相応だ!!


オモチャ程度でもいいから、コンパクトなライトテーブルがないかな?
と探していたら、ネットで見つけました!!『明日はまんが家!』という商品だ。
もともとコンビニなどで売られていた食玩だそうだ。
500円だって!?ライトテーブルにしてはあり得ないくらいに安い!!


僕がこの商品を見つけたときには、もうコンビニでは売られていなくて、ネットで在庫限りの販売しかしていなかった。迷わず注文した。


手のひら大サイズの上に、乾電池で使えるので、コードが邪魔にならないし
使わない時はささっと片づけられるのが嬉しい!!まさに僕が求めていた製品だ!!


安いオモチャなだけあって、光量はそんなに多くはないし、
明るいところと暗いところの差が激しい(光源から遠いところは暗くなる)
だが、4コマメモ用紙をトレースする分には文句がない。
快適にトレースしてサクサクと原稿を執筆している。

 

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今まで紹介した相棒たちを写真に撮ってみました!!
これからも相棒たちを頼りに漫画を描いていく。

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相棒その④

原稿用紙にシャープペンシルで作画する。
おっと。失敗した。描き直しだ!!
そんなときに必要なのが消しゴムだ!!


昨日は、原稿用紙を紹介したが、
1コマ枠の大きさは57mm×38mmと、かなり小さいサイズだ。
となると、必然的に絵も小さくなる。


細かいところも消せる消しゴムが必須だ!!
消せればなんでもいいんじゃない?
100均で買ったノック式の細い消しゴムを使っていたが、
どうにもきれいに消すことができない!!


シャープペンシルの粉を引きずり伸ばす感じで、
かえって紙を汚してしまう。こりゃダメだ!!


消しゴムにもこだわらなければいけない!!
有名メーカーの製品を何種類か試してみて、
自分が相棒に選んだのは「MONO one dust CATCH」だ。


消しくずが散らかりにくいというのが、この商品の最大の特徴のようだが、僕には重要ではない。
シャープペンシルの芯の粉に、色鉛筆の削りかす。
細かいゴミがあちこち散らばるのは、アナログ作家の宿命だ。
チマチマと粘着クリーナーで掃除する。
だから、消しゴムのカスが出まくっても、掃除すればいいだけだ!!


この商品の素晴らしいところは、消しゴムの色が黒であることだ。
原稿用紙は白く、消しゴムは黒い。このコントラストがはっきりしているおかげで、消しゴムをかける場所がはっきりと見やすくなって、細かいところを消しやすくなった。

また、消しゴムに粘り気があるので、シャープペンシルの粉をしっかりと吸着してくれる。おかげで、シャープペンシルの粉を引きずり伸ばすことなく、キレイに消すことができる。


不満というほどでもないけど、欠点を上げるとすれば、短すぎることだろう。
本体の長さが5cm強なので、少し持ちづらく感じることがある。
シャープペンシルくらいの長さになれば、持ちやすいし、消しゴムの容量が増える!!

 

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相棒その③

シャープペンシル、色鉛筆と来れば
次に必要なのは原稿用紙だ。


くどいようだが、僕は不器用である
線をピシッと描くことができない。どうしてもいびつになってしまう。


漫画を描くには、原稿用紙に枠線をひかねばならない。
これが僕にとって最大の難所だ。
定規で線を引こうと思っても、定規がずれたり、紙に対して線が曲がってしまったり。
不器用にもほどがある。


でも、こんな僕を救ってくれたアイテムがある!!
無印良品『短冊形メモ 4コマ』だ!!


無印良品の8色シャープペンシルを見つけたときに、これも見かけたのだ。


手のひら大サイズの長方形の用紙に、4コマの枠線が引かれている。
だから線を書かずにして4コマ漫画を描くことができるのだ!!
これで漫画を描こう!!


この用紙に出会わなければ、もしかしたら今こうして漫画を描いている僕はいなかったのかもしれない。
本当に、物との出会いも『運命』としか思えない!!


実は、この用紙は廃番になってしまったのだ。
このメモの買い置きがなくなってしまったらどうしよう!!
もう漫画を描くことができなくなる!!


なので、無印良品のお客様センターに相談した。
「どうか4コマメモを再販して下さい」
必死に訴えた!!そして回答があった。
「安定して売れている商品ではないため、再販の見込みはありません。」


「そこをなんとか!!1度だけでかまいません。大量に購入しますから!!」
「大量に購入とは?どのくらい購入していただけるのでしょうか?」
「・・・千冊。いや!!二千冊購入します!!」
「そうですか。それでは特別に今回限りで再販いたします。」
奇跡の逆転ホームラン!!買いましたよ。二千冊!!


1冊100円だから、二千冊で20万円!!コツコツ貯めたお小遣いが一気に消えた。
1冊40枚綴り。二千冊で8万枚の用紙だ!!でっかい段ボール4箱が部屋の一角を占領している。


購入して3年が経過して、およそ100冊使用した。
このペースだと、二千冊を使い切るには、あと57年かかる!!
一生描き続けられるし、描き続けなければいけない!!

 

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強くなる

目に見えないけれど、
深く突き刺し、傷つける武器がある。
それは『言葉』だ。


何度、言葉で傷つけただろうか。
何度、言葉で傷つけられただろうか。


身体はどこも傷ついていないのに、
どうしてこんなにも痛くて苦しいのだろうか。


どこで間違ったのだろうか。
いつから間違っていたのだろうか。
また一つ自分の手で大切なものを握りつぶしたのだ。

 

・・・。

この痛みはきっと自分の糧になる。
今すぐにではなくても、いつかきっと。


漫画を描き続けていこう。
僕にできることはそれしかないのだから。

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